「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」(上) 塩野七生 (新潮文庫)
2004年 11月 01日
アクティウムの海戦でアントニウスとクレオパトラの連合軍を下したオクタヴィアヌスは遂にローマ第一の人となります。初代皇帝となった彼ですが、当初は帝政を目指していることなどおくびにも見せず、逆に元老院制を強化させるような改革を行い、元老院派を狂喜させます。<アウグストゥス>という尊称も、元老院がそんな彼に喜々として与えたものです。(<アウグストゥス>という名称を選んだのは彼自身ですが。)しかしその実情は、元老院に権力を返すと見せかけて、実際には自分に権力が集中するような巧妙な改革なのです。そして、それはあまりにも巧妙なために、殆どの人々がその実情に気が付くことはありませんでした。
でも、いくら巧妙でも、施政に破綻が見られれば何れは見破られるでしょう。それが見破られること無く、面倒なこと、困難なことはアウグストゥスに任せておけば大丈夫と思わされたからこそ、誰もが疑問を抱かなかったのではないでしょうか。やっぱり、アウグストゥスが優れた施政者だったから出来たトリックだったと思います。
本書ではそんなアウグストゥスの慎重で堅実な政策が各方面にわたり細かく検証されています。
しかし、返す返すも思わされるのはカエサルの凄さです。
17歳のオクタヴィアヌス(後のアウグストゥス)にそんな施政者としての素質と熱意を見出したこと自体凄いですが、カエサルとアウグストゥスでは目指す方向は同じでも、資質や性格に違いがあります。自分と同じ性格の者を見出すのは然程困難なことではないかもしれませんが、違う性格の者の中にその適正を早くから見出すのは並みの人間には難しそうです。身贔屓で自分と同じ様な性格の者を選んでしまうのが人の情のように思います。
でも、カエサルはアウグストゥスを自分の後継者に、ひいてはローマの発展のために、選びます。そしてアウグストゥスもその期待を裏切りません。カエサルも凄いですが、アウグストゥスも凄い!
でも、いくら巧妙でも、施政に破綻が見られれば何れは見破られるでしょう。それが見破られること無く、面倒なこと、困難なことはアウグストゥスに任せておけば大丈夫と思わされたからこそ、誰もが疑問を抱かなかったのではないでしょうか。やっぱり、アウグストゥスが優れた施政者だったから出来たトリックだったと思います。
本書ではそんなアウグストゥスの慎重で堅実な政策が各方面にわたり細かく検証されています。
しかし、返す返すも思わされるのはカエサルの凄さです。
17歳のオクタヴィアヌス(後のアウグストゥス)にそんな施政者としての素質と熱意を見出したこと自体凄いですが、カエサルとアウグストゥスでは目指す方向は同じでも、資質や性格に違いがあります。自分と同じ性格の者を見出すのは然程困難なことではないかもしれませんが、違う性格の者の中にその適正を早くから見出すのは並みの人間には難しそうです。身贔屓で自分と同じ様な性格の者を選んでしまうのが人の情のように思います。
でも、カエサルはアウグストゥスを自分の後継者に、ひいてはローマの発展のために、選びます。そしてアウグストゥスもその期待を裏切りません。カエサルも凄いですが、アウグストゥスも凄い!
by yuiga28
| 2004-11-01 16:29
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