「ユリウス・カエサル ルビコン以後」(中) 塩野七生
2004年 10月 22日
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以後」(中)
塩野七生:著 (新潮文庫) 読了しました。
ポンペイウスの残党も一掃し、カエサルはいよいよ念願の帝政実現に向かって邁進します。終身独裁官に就任したカエサルは数々の改革を断行し、自身に権力を集中させる制度を築きます。元老院派の中では、彼が王になろうとしていると危惧する者も現れます。しかし、カエサルは王位を狙ってはいないと明言します。彼が狙うのは王位ではなく帝位なのだと著者は言っています。
カエサルはローマを帝国とすることで広大な地域を治めるのに理想的な政治が出来ると考えています。そのために自分に権力を集中させるわけですが、そんなカエサルに私欲は全く無かったんでしょうか?
国のため、民衆のために立ち上がり、覇権を握った歴史上の覇者も、多かれ少なかれ個人的な権力欲を持っていたと思います。個人的な欲望が薄いという方が珍しいでしょう。その個人的な欲望と、国や民衆の利益がどの程度一致するかで、改革者と言われるか、暴君と言われるかが決まるのだと思います。
この本を読む限りでは、カエサルの自らへの権力の集中はローマの国としての一層の飛躍、国の利益のためだと思われます。でも、全くの滅私であれ程のエネルギーが発揮出来るのか・・・ちょっと疑問に思います。国全体の利益のためとは言え、そこには理想国家となったローマを動かすのは自分であるという自負が大前提になっているのではないか・・・そう思われます。そんな原動力が無くては、あれだけ精力的に改革を断行することは出来なかったのでは?
塩野さんの記述が淡々としているため、カエサルの改革に対する熱意は感じられても私欲が殆ど感じられず、逆にこんな疑問も生まれてしまいました。それとも、偉大な人物の真意など小人には計り知れないものなんでしょうか。
塩野七生:著 (新潮文庫) 読了しました。
ポンペイウスの残党も一掃し、カエサルはいよいよ念願の帝政実現に向かって邁進します。終身独裁官に就任したカエサルは数々の改革を断行し、自身に権力を集中させる制度を築きます。元老院派の中では、彼が王になろうとしていると危惧する者も現れます。しかし、カエサルは王位を狙ってはいないと明言します。彼が狙うのは王位ではなく帝位なのだと著者は言っています。
カエサルはローマを帝国とすることで広大な地域を治めるのに理想的な政治が出来ると考えています。そのために自分に権力を集中させるわけですが、そんなカエサルに私欲は全く無かったんでしょうか?
国のため、民衆のために立ち上がり、覇権を握った歴史上の覇者も、多かれ少なかれ個人的な権力欲を持っていたと思います。個人的な欲望が薄いという方が珍しいでしょう。その個人的な欲望と、国や民衆の利益がどの程度一致するかで、改革者と言われるか、暴君と言われるかが決まるのだと思います。
この本を読む限りでは、カエサルの自らへの権力の集中はローマの国としての一層の飛躍、国の利益のためだと思われます。でも、全くの滅私であれ程のエネルギーが発揮出来るのか・・・ちょっと疑問に思います。国全体の利益のためとは言え、そこには理想国家となったローマを動かすのは自分であるという自負が大前提になっているのではないか・・・そう思われます。そんな原動力が無くては、あれだけ精力的に改革を断行することは出来なかったのでは?
塩野さんの記述が淡々としているため、カエサルの改革に対する熱意は感じられても私欲が殆ど感じられず、逆にこんな疑問も生まれてしまいました。それとも、偉大な人物の真意など小人には計り知れないものなんでしょうか。
by yuiga28
| 2004-10-22 06:36
| Book 歴史