「花櫓」 皆川博子 講談社文庫
2005年 06月 10日
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この人、本当に巧い。全く伝奇的な要素は無い本格歴史小説で、伝奇小説とは全く違う落ち着いた雰囲気なのに、これもまたグイグイと引き込まれるように読まされてしまった。
江戸中期の芝居小屋で江戸三座の一つ中村座を描いた作品で、裏表紙の内容説明には恋物語となっていて、確かに中村座の座元・八代目中村勘三郎の妾の子・お菊と正妻の子・お珊という同じ年の2人の娘の恋が主軸なのだが、それと同じくらい当事の歌舞伎界の事情やそれを巡る人々が織り成す人間模様も重要な要素になっていて、そちらもとても面白い。
伝奇的なところは無くても、2人の娘の複雑な心理には著者一流の独特の狂気が内包されているし、江戸の町や芝居の世界の光と影を色鮮やかに、情趣豊かに描き出していて、著者の特徴的な部分はしっかりと持っている。そして読後感の良さも…。
何を書いても巧いこの人の今度は推理モノを読んでみようかと思っている。でも、現代モノだからどうだろう…?
TBしています:
『花櫓』 中村屋の櫓(時代小説が大好きさま)
この人、本当に巧い。全く伝奇的な要素は無い本格歴史小説で、伝奇小説とは全く違う落ち着いた雰囲気なのに、これもまたグイグイと引き込まれるように読まされてしまった。
江戸中期の芝居小屋で江戸三座の一つ中村座を描いた作品で、裏表紙の内容説明には恋物語となっていて、確かに中村座の座元・八代目中村勘三郎の妾の子・お菊と正妻の子・お珊という同じ年の2人の娘の恋が主軸なのだが、それと同じくらい当事の歌舞伎界の事情やそれを巡る人々が織り成す人間模様も重要な要素になっていて、そちらもとても面白い。
伝奇的なところは無くても、2人の娘の複雑な心理には著者一流の独特の狂気が内包されているし、江戸の町や芝居の世界の光と影を色鮮やかに、情趣豊かに描き出していて、著者の特徴的な部分はしっかりと持っている。そして読後感の良さも…。
何を書いても巧いこの人の今度は推理モノを読んでみようかと思っている。でも、現代モノだからどうだろう…?
TBしています:
『花櫓』 中村屋の櫓(時代小説が大好きさま)
by yuiga28
| 2005-06-10 10:31
| Book 歴史