「私が見たと蝿は言う」 エリザベス・フェラーズ ハヤカワ文庫
2005年 04月 30日
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著者のエリザベス・フェラーズは1907年生まれ。1940年代に推理小説作家としてデビューし、1995年に亡くなるまで70作以上の長編を発表した多作家で、その数はミステリーの女王と言われたアガサ・クリスティを凌ぎ、欧米では広く知られた実力のある女流推理小説作家なのだが、日本ではあまり知られていなかった。近年、初期のシリーズ<トビー・ダイク&ジョージ>モノが何点か翻訳され、そのユーモアあふれる作風と、奇抜な謎解きで一躍脚光を浴びるようになった。
この作品は1984年に早川ポケミスから出たものの新訳で、非シリーズもの。
舞台は第2次世界大戦直前のロンドン。あまり上品とはいえない地域にあるアパートで、住人たち全員を巻き込む事件が起きる。アパートの住人はそれぞれにあくが強くて、それがちょっと皮肉っぽいユーモアになっているのだが、ドタバタには陥らずほどが良いし、実は事件にも関連が出て来るのだ。後半に差し掛かるとサスペンス性も出て来て十二分に楽しませてくれる。
しかし、読み終わった瞬間は裏切られた気がしてしまった。「これはフェアじゃないんじゃないの!?」と思わず怒りそうになった。だが、ちょっと落ち着いて考えてみると、それはこちらの勝手な思い込みで、実はそう思わせることまで計算されていたんじゃないかと思えて来た。どうやら著者の術中にはまってしまったらしい。うーん、やられた・・・。お見事デス。
著者のエリザベス・フェラーズは1907年生まれ。1940年代に推理小説作家としてデビューし、1995年に亡くなるまで70作以上の長編を発表した多作家で、その数はミステリーの女王と言われたアガサ・クリスティを凌ぎ、欧米では広く知られた実力のある女流推理小説作家なのだが、日本ではあまり知られていなかった。近年、初期のシリーズ<トビー・ダイク&ジョージ>モノが何点か翻訳され、そのユーモアあふれる作風と、奇抜な謎解きで一躍脚光を浴びるようになった。
この作品は1984年に早川ポケミスから出たものの新訳で、非シリーズもの。
舞台は第2次世界大戦直前のロンドン。あまり上品とはいえない地域にあるアパートで、住人たち全員を巻き込む事件が起きる。アパートの住人はそれぞれにあくが強くて、それがちょっと皮肉っぽいユーモアになっているのだが、ドタバタには陥らずほどが良いし、実は事件にも関連が出て来るのだ。後半に差し掛かるとサスペンス性も出て来て十二分に楽しませてくれる。
しかし、読み終わった瞬間は裏切られた気がしてしまった。「これはフェアじゃないんじゃないの!?」と思わず怒りそうになった。だが、ちょっと落ち着いて考えてみると、それはこちらの勝手な思い込みで、実はそう思わせることまで計算されていたんじゃないかと思えて来た。どうやら著者の術中にはまってしまったらしい。うーん、やられた・・・。お見事デス。
by yuiga28
| 2005-04-30 12:27
| Book ミステリー