「瀧夜叉」 皆川博子 文春文庫
2005年 04月 17日
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平安時代をゆるがせた2つの叛乱、承平・天慶の乱を背景に、その乱のそれぞれの首謀者、平将門と藤原純友の娘や息子とその仲間を描いた伝奇ロマン。
「妖櫻記」や「笑い姫」のつもりで読んだら、ちょっと違和感があった。
この2作品も、この「瀧夜叉」も、共に江戸時代の戯作者・山東京伝の作品がベースになっているのだが、前に読んだ2作品に比べると雰囲気が暗い。冒険活劇的な華やかさがほとんど感じられなかった。色彩感も乏しく、印象に残るのは生々しい血の色ばかり。「妖櫻記」も血の色が印象に残る作品だったが、その鮮烈な美しさはこの作品からは感じられず、生臭いとしか感じなられない。他の意味でも生臭い部分が多く、一部はそれで滑稽味を出しているのだとわかっていても、醜悪としか思えなかった。
陰陽師対決なども描かれていて、伝奇的な要素も非常に強く、良くも悪くもアクが強い。
物語の中心人物・蘆屋道摩(あしやどうま)の心理は哀切で読み応えがあり、主人公たちの中で一人醒めている感のある九郎の存在が終盤になってぐっと効いて来るなど、人物の描き方はさすがに巧いし、妖しさも充分に備えている。
でも、個人的な好みから言えば、爽やかさと読後感の良さが乏しいのは致命的。
平安時代をゆるがせた2つの叛乱、承平・天慶の乱を背景に、その乱のそれぞれの首謀者、平将門と藤原純友の娘や息子とその仲間を描いた伝奇ロマン。
「妖櫻記」や「笑い姫」のつもりで読んだら、ちょっと違和感があった。
この2作品も、この「瀧夜叉」も、共に江戸時代の戯作者・山東京伝の作品がベースになっているのだが、前に読んだ2作品に比べると雰囲気が暗い。冒険活劇的な華やかさがほとんど感じられなかった。色彩感も乏しく、印象に残るのは生々しい血の色ばかり。「妖櫻記」も血の色が印象に残る作品だったが、その鮮烈な美しさはこの作品からは感じられず、生臭いとしか感じなられない。他の意味でも生臭い部分が多く、一部はそれで滑稽味を出しているのだとわかっていても、醜悪としか思えなかった。
陰陽師対決なども描かれていて、伝奇的な要素も非常に強く、良くも悪くもアクが強い。
物語の中心人物・蘆屋道摩(あしやどうま)の心理は哀切で読み応えがあり、主人公たちの中で一人醒めている感のある九郎の存在が終盤になってぐっと効いて来るなど、人物の描き方はさすがに巧いし、妖しさも充分に備えている。
でも、個人的な好みから言えば、爽やかさと読後感の良さが乏しいのは致命的。
by yuiga28
| 2005-04-17 14:35
| Book 歴史