「一日江戸人」 杉浦日向子 新潮文庫
2005年 04月 14日
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NHKの「コメディー お江戸でござる」の解説コーナーで楽しく面白い薀蓄の数々を披露されていた杉浦日向子さんの楽しさいっぱい驚きいっぱいの江戸案内。
元漫画家さんだった杉浦さんご自身の手になるイラストいっぱいで、わかり易いし、読み易い。学問的な小難しいことは一切なしで、好奇心だけで読んでも充分に楽しめる。一つの章が短いので、他の本を読んでいる合間に数章・・・と気軽に読めて、気分転換にもぴったり!
江戸って、実に楽しそう。
暑い夏には、垣根には朝顔、軒先には釣りしのぶや風鈴、金魚や蛍を飼って、井戸の中には良く冷えたスイカや瓜。汗をかいたら庭先で行水か、ひとっ風呂浴びに湯屋へ。日が落ちたら大川端へ涼みに行き、縁台での夕涼みでは恋の花咲くことも・・・。
うーん、これぞ日本の夏! 粋の極みですな。
実際には、現代人には不便なことはたくさんあるんだろうが、こんな生活もいいなぁ、と思わされてしまう。
現代人がエアコンのスイッチ一つでしのぐ暑さを、いろんな工夫を凝らしてしのぐ。しのぐと言うより、暑さを楽しんでる感じ。
江戸人の凄さは、その「何でも楽しんでやろう!」という精神の凄まじさにある。お金持ちも貧乏人もその精神は一緒で、お金があるならあるなりに、無いなら無いなりに、生活の中のありとあらゆるものに積極的に楽しみを見出している。それに比べると現代人の楽しみ方は受動的で画一化されているように感じられてしまう。
しかし、お金が無いと言っても、今の世の中とは随分違う。
女房が「お前さん、お米が一粒も無いよ。」と言えば、亭主は外へ出て、「米つこうか、薪割ろうか、風呂焚こうか。」と言って歩く。すぐに声がかかり、その日のお米分くらい稼げてしまう。
月のうち半分も働けば女房子供が養え、独り者なら1週間も働けばひと月食べられた。短期のアルバイト口もゴロゴロしてて、その気になれば直ぐに働ける。
景気が良かったのだ、江戸は。しかも、物価が安い。食うに困らないから、何だって楽しんでやる!と言う活力も湧くわけで、庶民に活力があるから景気も良くなる。羨ましいですなー。
逆にお殿様は悲惨だ。
お大名家は火の車だった家が多かったそうで、庶民の間にはグルメブームが巻き起こっている同じ頃、藩の財政立て直しのために自ら範を示そうとした16歳の若殿様は、おかずは豆腐半丁だけと言う生活を5年間続けた挙句、20歳の若さでポックリ死んでしまったとか・・・。
か、可哀想・・・。(;;)
自分で何とか出来ちゃう庶民に比べたら、御殿住まいが出来てもお殿様は息苦しそう。
いやぁ、庶民に生まれて、よかった、よかった。折角庶民に生まれたんだから、江戸人を見習って、ひとつ能天気に行きますか! えっ、今でも充分能天気?・・・おっしゃるとおりでございます。^^;
TBしています:
『一日江戸人』 杉浦日向子(和暮らしの本棚さま)
NHKの「コメディー お江戸でござる」の解説コーナーで楽しく面白い薀蓄の数々を披露されていた杉浦日向子さんの楽しさいっぱい驚きいっぱいの江戸案内。
元漫画家さんだった杉浦さんご自身の手になるイラストいっぱいで、わかり易いし、読み易い。学問的な小難しいことは一切なしで、好奇心だけで読んでも充分に楽しめる。一つの章が短いので、他の本を読んでいる合間に数章・・・と気軽に読めて、気分転換にもぴったり!
江戸って、実に楽しそう。
暑い夏には、垣根には朝顔、軒先には釣りしのぶや風鈴、金魚や蛍を飼って、井戸の中には良く冷えたスイカや瓜。汗をかいたら庭先で行水か、ひとっ風呂浴びに湯屋へ。日が落ちたら大川端へ涼みに行き、縁台での夕涼みでは恋の花咲くことも・・・。
うーん、これぞ日本の夏! 粋の極みですな。
実際には、現代人には不便なことはたくさんあるんだろうが、こんな生活もいいなぁ、と思わされてしまう。
現代人がエアコンのスイッチ一つでしのぐ暑さを、いろんな工夫を凝らしてしのぐ。しのぐと言うより、暑さを楽しんでる感じ。
江戸人の凄さは、その「何でも楽しんでやろう!」という精神の凄まじさにある。お金持ちも貧乏人もその精神は一緒で、お金があるならあるなりに、無いなら無いなりに、生活の中のありとあらゆるものに積極的に楽しみを見出している。それに比べると現代人の楽しみ方は受動的で画一化されているように感じられてしまう。
しかし、お金が無いと言っても、今の世の中とは随分違う。
女房が「お前さん、お米が一粒も無いよ。」と言えば、亭主は外へ出て、「米つこうか、薪割ろうか、風呂焚こうか。」と言って歩く。すぐに声がかかり、その日のお米分くらい稼げてしまう。
月のうち半分も働けば女房子供が養え、独り者なら1週間も働けばひと月食べられた。短期のアルバイト口もゴロゴロしてて、その気になれば直ぐに働ける。
景気が良かったのだ、江戸は。しかも、物価が安い。食うに困らないから、何だって楽しんでやる!と言う活力も湧くわけで、庶民に活力があるから景気も良くなる。羨ましいですなー。
逆にお殿様は悲惨だ。
お大名家は火の車だった家が多かったそうで、庶民の間にはグルメブームが巻き起こっている同じ頃、藩の財政立て直しのために自ら範を示そうとした16歳の若殿様は、おかずは豆腐半丁だけと言う生活を5年間続けた挙句、20歳の若さでポックリ死んでしまったとか・・・。
か、可哀想・・・。(;;)
自分で何とか出来ちゃう庶民に比べたら、御殿住まいが出来てもお殿様は息苦しそう。
いやぁ、庶民に生まれて、よかった、よかった。折角庶民に生まれたんだから、江戸人を見習って、ひとつ能天気に行きますか! えっ、今でも充分能天気?・・・おっしゃるとおりでございます。^^;
TBしています:
『一日江戸人』 杉浦日向子(和暮らしの本棚さま)
by yuiga28
| 2005-04-14 09:33
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