切り裂きジャック 闇に消えた殺人鬼の新事実 仁賀克雄
2004年 09月 13日
『切り裂きジャック 闇に消えた殺人鬼の新事実』
本書は『新・ロンドンの恐怖 ~切り裂きジャックの犯行と新事実~』(原書房:刊)を原書に、加筆修正を加えて文庫化したもので、著者の仁賀克雄さんは日本のリッパロロジスト(切り裂きジャック学者・・・と言うか、愛好家)の第一人者です。
<闇に消えた殺人鬼の新事実>という副題は、<闇に消えた殺人鬼>の<新事実>ではなく、<闇に消えた>、<殺人鬼の新事実>という意味のようです。
・・・とすれば、題名に偽り無しで、簡潔にまとめられた良書と言えます。
犯行を資料に基き再現した部分と、過去に百出した切り裂きジャックの犯人を指摘した説の主だったものを年代順に挙げ、端的に問題点を指摘する部分から成っています。
これと言って目新しい説は無いのですが、改めて並べられると、まず犯人ありきで都合の良い資料だけを切り張りしたようなものから、売名のためのでっち上げ、検証の域を遥かに越えてファンタジーとしか言いようのないものまで、良くぞこんなに!と思うほどありとあらゆる説が発表され、とんでもない人物までが犯人として名指しされているのに驚かされます。
これだけでは確かに物足りないのですが、<文庫版あとがき>に目指す記述がありました。
日本の第一人者の仁賀さんが、2003年に発表された(日本で)パトリシア・コーンウェルが7億円もの巨費を投じて犯人究明に乗り出した書『切り裂きジャック』に対してどのような感想をお持ちなのか・・・、それが本書を読んだ一番の目的でした。そして、その感想は充分満足の行くものでした。
コーンウェルもやはり真犯人にはたどり着いていない。状況証拠だけで、彼女が名指した人物が犯人であると断定する根拠はあまりに弱く、想像の域を出ない。
と、感じたのは間違いではなかったようです。
という事で、大満足!
余談ですが、近年公開された切り裂きジャック事件をモチーフにした映画に『フロム・ヘル』というのがありましたが、あれはでっち上げられた説を基にして作られたストーリーだという事がわかりました。
実際の犯人探しという観点では突飛で辻褄が合わない説なのですが、監督が上手だったのか、映画はドラマチックで、当時の雰囲気も良く出ていて良かったです。
単にジョニー・デップ好きだからかもしれませんが・・・(^^;A
仁賀克雄:著(講談社文庫)読了しました。
詳しい感想はこちら
本書は『新・ロンドンの恐怖 ~切り裂きジャックの犯行と新事実~』(原書房:刊)を原書に、加筆修正を加えて文庫化したもので、著者の仁賀克雄さんは日本のリッパロロジスト(切り裂きジャック学者・・・と言うか、愛好家)の第一人者です。
<闇に消えた殺人鬼の新事実>という副題は、<闇に消えた殺人鬼>の<新事実>ではなく、<闇に消えた>、<殺人鬼の新事実>という意味のようです。
・・・とすれば、題名に偽り無しで、簡潔にまとめられた良書と言えます。
犯行を資料に基き再現した部分と、過去に百出した切り裂きジャックの犯人を指摘した説の主だったものを年代順に挙げ、端的に問題点を指摘する部分から成っています。
これと言って目新しい説は無いのですが、改めて並べられると、まず犯人ありきで都合の良い資料だけを切り張りしたようなものから、売名のためのでっち上げ、検証の域を遥かに越えてファンタジーとしか言いようのないものまで、良くぞこんなに!と思うほどありとあらゆる説が発表され、とんでもない人物までが犯人として名指しされているのに驚かされます。
これだけでは確かに物足りないのですが、<文庫版あとがき>に目指す記述がありました。
日本の第一人者の仁賀さんが、2003年に発表された(日本で)パトリシア・コーンウェルが7億円もの巨費を投じて犯人究明に乗り出した書『切り裂きジャック』に対してどのような感想をお持ちなのか・・・、それが本書を読んだ一番の目的でした。そして、その感想は充分満足の行くものでした。
コーンウェルもやはり真犯人にはたどり着いていない。状況証拠だけで、彼女が名指した人物が犯人であると断定する根拠はあまりに弱く、想像の域を出ない。
と、感じたのは間違いではなかったようです。
という事で、大満足!
余談ですが、近年公開された切り裂きジャック事件をモチーフにした映画に『フロム・ヘル』というのがありましたが、あれはでっち上げられた説を基にして作られたストーリーだという事がわかりました。
実際の犯人探しという観点では突飛で辻褄が合わない説なのですが、監督が上手だったのか、映画はドラマチックで、当時の雰囲気も良く出ていて良かったです。
単にジョニー・デップ好きだからかもしれませんが・・・(^^;A
by yuiga28
| 2004-09-13 15:55
| Book 歴史