「彷徨える帝」 安部龍太郎 新潮文庫
2005年 03月 29日
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こちらも後南朝モノ。時代的に言えば「妖櫻記」(皆川博子:著)の直前に当たる。こちらを先に読めばよかった。
観阿弥暗殺で行きなり幕が開き、息子・藤若(後の世阿弥元清)も登場。ツカミはOK!(話自体はそれから数十年後の出来事だが・・・。)
伝奇モノと聞いていたが、それほど派手な不思議もなく、純然たる時代小説として読むことが出来た。特に終盤に描かれている都での一揆の場面は圧巻!
だが、南朝方と幕府の攻防にはこれで一先ず決着は付いたものの、この物語のキーになっている後醍醐天皇によって呪力を込められた3つの能面に関しての決着のつけ方はモロにオカルト。伝奇モノだからそれくらいは当然なのだが、全体のトーンから言えば、別に超自然的な解決にしなくてもよかったと思う。その”超自然”がまた月並み・・・。
本格推理小説顔負けの暗号解読なんかも盛り込まれていて、とにかく様々な趣向で読者を楽しませようとしているが、そんなに欲張らず、もっと本当に書きたいことだけをきっちり書いたら良かったのに・・・。
まあ、それだけ趣向が凝らされているのでそれなりに楽しめたが、「妖櫻記」に比べると劣る感じは否めない。「妖櫻記」の方が伝奇色が強いにもかかわらず、創作と歴史とを上手に絡めているという点でも上だし、伝奇的要素の輝きという点では比べ物にならない。
部分的には読み応えのある箇所も多々あるだけにとても残念。
こちらも後南朝モノ。時代的に言えば「妖櫻記」(皆川博子:著)の直前に当たる。こちらを先に読めばよかった。
観阿弥暗殺で行きなり幕が開き、息子・藤若(後の世阿弥元清)も登場。ツカミはOK!(話自体はそれから数十年後の出来事だが・・・。)
伝奇モノと聞いていたが、それほど派手な不思議もなく、純然たる時代小説として読むことが出来た。特に終盤に描かれている都での一揆の場面は圧巻!
だが、南朝方と幕府の攻防にはこれで一先ず決着は付いたものの、この物語のキーになっている後醍醐天皇によって呪力を込められた3つの能面に関しての決着のつけ方はモロにオカルト。伝奇モノだからそれくらいは当然なのだが、全体のトーンから言えば、別に超自然的な解決にしなくてもよかったと思う。その”超自然”がまた月並み・・・。
本格推理小説顔負けの暗号解読なんかも盛り込まれていて、とにかく様々な趣向で読者を楽しませようとしているが、そんなに欲張らず、もっと本当に書きたいことだけをきっちり書いたら良かったのに・・・。
まあ、それだけ趣向が凝らされているのでそれなりに楽しめたが、「妖櫻記」に比べると劣る感じは否めない。「妖櫻記」の方が伝奇色が強いにもかかわらず、創作と歴史とを上手に絡めているという点でも上だし、伝奇的要素の輝きという点では比べ物にならない。
部分的には読み応えのある箇所も多々あるだけにとても残念。
by yuiga28
| 2005-03-29 20:29
| Book 歴史