「ポプラの秋」 湯本香樹実 新潮文庫
2005年 03月 24日
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一番のポイントはポプラ荘の大家のおばあちゃんだ。この人の強烈なキャラクターが何よりも印象に残った。偏屈ぶりがファンタスティック! 愛すべきクソババアである。「夏の庭 The Friends」のおじいちゃんをクソジジイと書いたが、彼より更に個性的で、よりパワーアップされている。好きだなぁ、このおばあちゃん。
このおばあちゃんのアパートにお母さんと越して来るのが主人公の千秋。お父さんの死をうまく受け入れられなくて心を閉ざし気味の小学1年生の女の子なのだが、この子の不安定な心が示す症状はとても痛々しい。物語の核ともなっているお父さんへの手紙の子供らしい稚拙さは微笑ましくもある反面、その父親が死んでいることを思うと切ない。一番頼りたいハズの母親はまだ自分自身ショックから立ち直れていなくて、逆に千秋に気を遣わせ、それが更に千秋を追い詰めている。それが何より可哀想。
そんな千秋も、おばあちゃんやポプラ荘のほかの住人に囲まれて生活して行くうちに段々と心の傷が癒えて行く。その過程が温かい筆致で丁寧に描かれているのだが、これは大人になった千秋の長い回想なのである。
ラストでは、大人になった千秋が現在抱える問題と、新たに知らされた衝撃的な事実が明らかにされる。
基本的な要素は「夏の庭 The Friends」と共通する。老人、問題を抱えた子供、そして庭。おじいちゃんに比べておばあちゃんのキャラクターがパワーアップされているのと同様、子供の抱える問題もより深く具体的に描かれている。そして最後には大人の世界の問題まで盛り込んで・・・。
良い作品だと思う。しかし、それは単体としてみた場合で、「夏の庭 The Friends」の自然なストーリー展開、素朴な子供たちに比べると作り込み過ぎているように感じてしまう。あの爽やかさが殆ど感じられなくなっているのがとても残念。
「夏の庭 The Friends」の高評価によって肩に力が入り過ぎてしまったのかな?・・・そんな感じを受ける。
それと・・・
シチュエーションが梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」に似てる、と思うのは私だけ?
TBしています:
■ 【ポプラの秋】 湯本 香樹実 (著)(評価channel様)
一番のポイントはポプラ荘の大家のおばあちゃんだ。この人の強烈なキャラクターが何よりも印象に残った。偏屈ぶりがファンタスティック! 愛すべきクソババアである。「夏の庭 The Friends」のおじいちゃんをクソジジイと書いたが、彼より更に個性的で、よりパワーアップされている。好きだなぁ、このおばあちゃん。
このおばあちゃんのアパートにお母さんと越して来るのが主人公の千秋。お父さんの死をうまく受け入れられなくて心を閉ざし気味の小学1年生の女の子なのだが、この子の不安定な心が示す症状はとても痛々しい。物語の核ともなっているお父さんへの手紙の子供らしい稚拙さは微笑ましくもある反面、その父親が死んでいることを思うと切ない。一番頼りたいハズの母親はまだ自分自身ショックから立ち直れていなくて、逆に千秋に気を遣わせ、それが更に千秋を追い詰めている。それが何より可哀想。
そんな千秋も、おばあちゃんやポプラ荘のほかの住人に囲まれて生活して行くうちに段々と心の傷が癒えて行く。その過程が温かい筆致で丁寧に描かれているのだが、これは大人になった千秋の長い回想なのである。
ラストでは、大人になった千秋が現在抱える問題と、新たに知らされた衝撃的な事実が明らかにされる。
基本的な要素は「夏の庭 The Friends」と共通する。老人、問題を抱えた子供、そして庭。おじいちゃんに比べておばあちゃんのキャラクターがパワーアップされているのと同様、子供の抱える問題もより深く具体的に描かれている。そして最後には大人の世界の問題まで盛り込んで・・・。
良い作品だと思う。しかし、それは単体としてみた場合で、「夏の庭 The Friends」の自然なストーリー展開、素朴な子供たちに比べると作り込み過ぎているように感じてしまう。あの爽やかさが殆ど感じられなくなっているのがとても残念。
「夏の庭 The Friends」の高評価によって肩に力が入り過ぎてしまったのかな?・・・そんな感じを受ける。
それと・・・
シチュエーションが梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」に似てる、と思うのは私だけ?
TBしています:
■ 【ポプラの秋】 湯本 香樹実 (著)(評価channel様)
by yuiga28
| 2005-03-24 23:52
| Book 小説