「白い夏の墓標」 帚木蓬生 新潮文庫
2005年 03月 08日
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帚木蓬生さんの記念すべき長編第1作目。高い評価を受けているようだが、初期の医学サスペンス2作品(「カシスの舞い」、「賞の柩」)は発展途上中と言った様相の散漫な感じが否めない作品だったので、この作品もあまり期待はしていなかった。
ところが、これが予想に反して作品としての密度の高さも申し分の無く、かつ、叙情的で胸を締め付けられるような切なさ溢れる好作品だった。
悲運の天才学者・黒田のドラマチックな生涯が非常に温かな筆致で描かれている。また、1979年の発表の作品だが、医学技術の軍事利用(生物兵器)の問題やそれに携わる人々の精神的葛藤と言ったテーマはいまだに新鮮さを失っていない。
長編と言っても短めの作品だが、焦点を絞った描き方でよく纏まった読み応えのある作品に仕上がっている。
帚木蓬生さんの記念すべき長編第1作目。高い評価を受けているようだが、初期の医学サスペンス2作品(「カシスの舞い」、「賞の柩」)は発展途上中と言った様相の散漫な感じが否めない作品だったので、この作品もあまり期待はしていなかった。
ところが、これが予想に反して作品としての密度の高さも申し分の無く、かつ、叙情的で胸を締め付けられるような切なさ溢れる好作品だった。
悲運の天才学者・黒田のドラマチックな生涯が非常に温かな筆致で描かれている。また、1979年の発表の作品だが、医学技術の軍事利用(生物兵器)の問題やそれに携わる人々の精神的葛藤と言ったテーマはいまだに新鮮さを失っていない。
長編と言っても短めの作品だが、焦点を絞った描き方でよく纏まった読み応えのある作品に仕上がっている。
by yuiga28
| 2005-03-08 23:58
| Book 小説