「ヒトラーの防具」 帚木蓬生
2004年 09月 04日
『ヒトラーの防具』 帚木蓬生 (新潮文庫)読了しました。
ヒトラーやナチスに興味があっても、禍々しさやおぞましさが先に立ち、なかなかそのものズバリのものが読めません。(『わが闘争』とか)
サスペンス仕立てで奇談風な『死の泉』(皆川博子:著)とか、ナチス占領下のフランスからのおじいちゃんと子どもたちの脱出行を描いた『パイド・パイパー』(ネビル・シュート:著)などのフィクションは読めましたが、『ハンナのかばん』(カレン・レビン:著)などのノンフィクション、しかもホロコーストの犠牲になった子どもの話などは辛くてかないません。
しかし、さすがに帚木蓬生さんは読ませてくれました。
ナチス政権下のベルリンに武官事務所の補佐官として派遣された日独混血の青年将校の苦悩と数奇な運命を描いた作品で、回復の見込みのない精神病者の処分やユダヤ人弾圧など、題材自体は重く暗いものですか、それをいつもながらのあふれるばかりのヒューマニズムで、余韻の残る好作品に仕上げてくれています。
また、当時の情勢の変化や頑迷な陸軍に引き摺られて戦争に突入してしまう日本の状況などもとてもよくわかりました。
日本からヒトラーに贈られた剣道の防具一式の存在は実話で、その防具は多くの人の手を経て今はまた日本に戻って来ているそうです。
その他の帚木作品はこちら
(詳しい感想はこちら)
ヒトラーやナチスに興味があっても、禍々しさやおぞましさが先に立ち、なかなかそのものズバリのものが読めません。(『わが闘争』とか)
サスペンス仕立てで奇談風な『死の泉』(皆川博子:著)とか、ナチス占領下のフランスからのおじいちゃんと子どもたちの脱出行を描いた『パイド・パイパー』(ネビル・シュート:著)などのフィクションは読めましたが、『ハンナのかばん』(カレン・レビン:著)などのノンフィクション、しかもホロコーストの犠牲になった子どもの話などは辛くてかないません。
しかし、さすがに帚木蓬生さんは読ませてくれました。
ナチス政権下のベルリンに武官事務所の補佐官として派遣された日独混血の青年将校の苦悩と数奇な運命を描いた作品で、回復の見込みのない精神病者の処分やユダヤ人弾圧など、題材自体は重く暗いものですか、それをいつもながらのあふれるばかりのヒューマニズムで、余韻の残る好作品に仕上げてくれています。
また、当時の情勢の変化や頑迷な陸軍に引き摺られて戦争に突入してしまう日本の状況などもとてもよくわかりました。
日本からヒトラーに贈られた剣道の防具一式の存在は実話で、その防具は多くの人の手を経て今はまた日本に戻って来ているそうです。
その他の帚木作品はこちら
by yuiga28
| 2004-09-04 03:46
| Book 小説