「ななつのこ」 加納朋子 創元推理文庫
2005年 01月 15日
詳しい感想はこちら   掲載書籍INDEX
鮎川哲也賞受賞作ということなので推理小説なのだろうが、推理小説的な要素は一部分で、一番の読みどころは主人公・駒子が日常から感じる様々な想いなのだと思う。大人にもなり切れず、かと言って子供でもない19歳という微妙な年齢の駒子の想いは誰もが経験した事のある感覚ではないかと思う。
特に、周囲の人間が皆、あらゆる長所を持ち、自信満々で、自分の道を闊歩しているのが羨ましく、時に妬ましい。一方、自分は大した取り柄も無く、周囲の人々とはちょっと変わっていて、あまり理解されない。・・・そんな駒子の想いは、実は誰しもが多少なりとも抱いているものではないだろうか。
かく言う私も、駒子のそんな想いにとても共感してしまった自称”変わり者”の一人だ。
中でも秀逸なのが「白いタンポポ」。
花は何でも白い色に塗り、タンポポまでも白く塗ってしまう少女・真雪(まゆき)ちゃん。その訳を北原白秋の短歌に求めるところなど、「ああ、凄い~!」と唸らされてしまう。
真雪ちゃんの想いと駒子の想い、そしてこちらの想いまでもが一つになる。”変わり者”には癒される物語なのだ。
加納さんの文章自体にも非常に親近感を持った。
硬くて皮肉っぽくて、独特のユーモアに満ちた地の文。一方、会話文は非常にくだけていてナチュラル・・・技量の差が思いっ切りあるので、こんなことを書くのはおこがましいのだが、自分の文体に似ている。と言うか、もしも、技量があったなら、如何にもこんな文章になりそう、という文体だと思うのだ。(加納さん、ごめんなさい。)
硬い文章、何とかしたい!と思いながら、同質のものを感じる加納さんの文章には、だからとても親しみが湧くのだ。
鮎川哲也賞受賞作ということなので推理小説なのだろうが、推理小説的な要素は一部分で、一番の読みどころは主人公・駒子が日常から感じる様々な想いなのだと思う。大人にもなり切れず、かと言って子供でもない19歳という微妙な年齢の駒子の想いは誰もが経験した事のある感覚ではないかと思う。
特に、周囲の人間が皆、あらゆる長所を持ち、自信満々で、自分の道を闊歩しているのが羨ましく、時に妬ましい。一方、自分は大した取り柄も無く、周囲の人々とはちょっと変わっていて、あまり理解されない。・・・そんな駒子の想いは、実は誰しもが多少なりとも抱いているものではないだろうか。
かく言う私も、駒子のそんな想いにとても共感してしまった自称”変わり者”の一人だ。
中でも秀逸なのが「白いタンポポ」。
花は何でも白い色に塗り、タンポポまでも白く塗ってしまう少女・真雪(まゆき)ちゃん。その訳を北原白秋の短歌に求めるところなど、「ああ、凄い~!」と唸らされてしまう。
真雪ちゃんの想いと駒子の想い、そしてこちらの想いまでもが一つになる。”変わり者”には癒される物語なのだ。
加納さんの文章自体にも非常に親近感を持った。
硬くて皮肉っぽくて、独特のユーモアに満ちた地の文。一方、会話文は非常にくだけていてナチュラル・・・技量の差が思いっ切りあるので、こんなことを書くのはおこがましいのだが、自分の文体に似ている。と言うか、もしも、技量があったなら、如何にもこんな文章になりそう、という文体だと思うのだ。(加納さん、ごめんなさい。)
硬い文章、何とかしたい!と思いながら、同質のものを感じる加納さんの文章には、だからとても親しみが湧くのだ。
by yuiga28
| 2005-01-15 17:10
| Book ミステリー